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メトロポリタン美術館の一枚 NO2 有名な化学者と妻の美しい肖像画 Antoine Laurent Lavoisier and His Wife



メトロポリタン美術館の一枚 NO2 有名な化学者と妻の美しい肖像画 Antoine Laurent Lavoisier and His Wife_e0373235_07570582.jpg

Antoine Laurent Lavoisier (1743–1794) and His Wife (Marie Anne Pierrette Paulze, 1758–1836)
Artist:
Jacques Louis David (French, Paris 1748–1825 Brussels)
Date:1788
Medium:Oil on canvas
Dimensions:102 1/4 x 76 5/8 in. (259.7 x 194.6 cm)


↓メトロポリタン美術館ホーム頁パブリックドメイン

メトロポリタン美術館の一枚 NO2 有名な化学者と妻の美しい肖像画 Antoine Laurent Lavoisier and His Wife_e0373235_07582944.jpg


日本語でメトロポリタン美術館ホームページを読んで聴けます。こちら

その美しい額縁と絵画に目を奪われる、一枚の肖像画は、フランスの有名な化学者、ラヴォアジエと妻。メトロポリタン美術館ホーム頁にも記載されているようにThis is one of the most important portraits of the eighteenth century, painted in 1788
1788年に描かれた、十八世紀の重要な肖像画として紹介されています。


主人はこの絵画が好きなようで、メトロポリタン美術館を一緒に初訪問の際、この有名な化学者はギロチン刑で亡くなったと話していた覚えが…美しく有名な絵画な為、美術館訪問の際、何度も見ていたものの、モデルの方が、↑化学者ラヴォアジエ、有名な化学者という事を知らなかった私。




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以下メトロポリタン美術館ホーム頁 as the founder of modern chemistry, for his pioneering studies of gunpowder, oxygen, and the chemical composition of water.
火薬、酸素、水の化学成分しくみ(化学組成)等、現代化学創始者として知名度のある学者です。

絵画中、化学者の横にたたずむ美しい女性が妻のMarie Anne Pierrette Paulze。

13歳の時に28歳の↑ラヴォアジエと結婚。年齢差15歳のご夫婦は現代でもいらっしゃると思いますが、この時代は13歳で親元を離れて結婚という例も多々あった現実。娘がいたら、13歳でお嫁に出すなんて嫌だわ、少なくとも20歳迄手元に。って娘はいないんですが、思う気がします。(現代この年齢は結婚違法で心配無用ですが)
その後、化学者である夫の為、数カ国語を習得し、翻訳、実験のスケッチと内助の功を発揮する妻となりました。


そんな良妻の話を聞くと、この絵画からも、心なしか、旦那様の奥様を見つめる眼差しに、"頼りにしている"感が見受けられるような気もしますが、不運にもラヴォアジエ↑はフランス革命の際、ギロチンで首をはねられ、その後奥様は、アメリカ人と再婚、そして離婚。1836年パリで逝去。


しかしながら、夫からのちに意外な事実を聞き(後に記載)、絵画ラヴォアジエの妻への眼差しに別の意味を?



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絵画のサイズは大きく圧倒されます。

このサイズは十八世紀の(特権階級)英国肖像画として通常であっても、フランスでは、
民間人でこのサイズの肖像画は稀だったとの事。
民間人といってもラヴォアジエは裕福な家の出身な為、
特権階級の印象でしたが、メトロポリタン美術館では以下の英文で

Full-length standing portraits of private citizens are rare in French eighteenth-century painting, though much more frequent in British portraits of landed gentry and nobility


美しい絵画を縁取っている額は最初の額ではないようですが、パリ、オーク製1775〜80年代の額で高品質。以下美術館頁で↓
The frame is from Paris and dates to about 1775–80 (see Additional Images, figs. 1–4). This extremely high-quality Louis XVI frame is entirely made of oak


ホーム頁のProvenance欄では絵画が現在に至るまでの足取りを知ることができ、一般的に大きな規模の絵画を所蔵する美術館ではホーム頁に記載があります。


この絵画の最初の持ち主は、ラヴォアジエ夫人。

画家Jacques Louis Davidに7,000 livres支払われています。現在2018年ですから、資産換算金額同様とはいきませんが、1996年代のドル換算では$280,000と評価額が表示されていました
(1993年にPygmalion/Gerard Walteletによって出版され1996年英訳されたラヴォアジエの伝記ユニヴァーシティーペンシルヴァニアプレスより)




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最近はコスチュームコレクションにも力を入れているように見受けられるメトロポリタン美術館。

サラジェシカパーカーがナレーションを務めていますが、ラヴォアジエの奥様とこの絵画について以下のような会話がキューレーター(学芸員)との間で






下に意訳で日本語付随

Harold Koda: In the case of Madame Lavoisier, she's wearing the chemise à la reine. The chemise à la reine was derived from the practice of Marie Antoinette to wear simple white dresses as opposed to the formal silk gowns that she was prescribed to wear in most court functions. It looked scandalously nude to the public at that time. By the time Madame Lavoisier is wearing it, it has become standard practice in the high fashion. It's again an example of something that was more private becoming more public—a trend that one sees reflected even today in contemporary fashion.


Andrew Bolton: I think what's interesting about the gentleman's attire is anticipating what became known as the great masculine renunciation, in which decoration, color, lace, all sorts of fripperies were completely stripped away.


Sarah Jessica Parker: By the way, people often focus on the difference between women's and men's clothes. It's interesting to notice the similarities between them.


Andrew Bolton: There is a visual and aesthetic sympathy between men's and women's dresses throughout history. And you see it here in particular, with the pared-down, minimalist aesthetic of her dress and the same in his black and white. It's a lovely contrast.


マダムラヴォアジエ衣装の意訳ですが、この絵画でマダムラヴォアジエが着用しているドレスはThe chemise à la reineといい、マリーアントワネットが着用し始め、この時代、(否定的な意味で)革新的な装いでしたが(→英文 It looked scandalously nude to the public at that time)ファッションの常で、その傾向は個人的嗜好から大衆へと一般化。マダムラヴォアジエが着用した頃は"洒脱な装い"=High Fashionとして受け入れられたようです。

マダムラヴォアジエの髪型もマリーアントワネット風に感じる私。

下の絵画はマリーアントワネット
ラヴォアジエ夫妻の肖像画を描いたJacques Louis David

プブリックドメイン
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Sarah Jessica Parker: Madame Lavoisier's dress is made of the finest cotton. In the late eighteenth century, when David painted this marvelous double portrait, cotton was very costly and imported from India. In the United States, the huge popularity of this cool, easily maintained fabric, and the invention of Eli Whitney's cotton gin, led to the vast plantations of the South.
King Cotton would, of course, play a crucial role in the formation of American history, including the explosive expansion of slavery, the forced migration of millions of Africans, and eventually the Civil War. In France, the craze for cotton virtually destroyed the silk industry in Lyons, shutting down the city's twenty-thousand silk looms and causing a catastrophic depression.


↑加えて、マダムラヴォアジエのドレスは高質な綿製品でこの時代、18世紀後半、インドから輸入される綿は大変高価でした。北米でも扱いやすい綿が主流となりコットンジン(綿繊維をより合理的に作り出す機械、 Cotton Gin)の発明で南部に広大な綿農場ができ、奴隷制度が促進、Civil War(南北戦争)へと北米歴史が移り変わっていきます。一方、フランスでは綿製品普及が絹産業地域Lyonsを不況に陥れる結果となります。



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ここまでは、美術館ホーム頁中心に
この絵画について記載してきたのですが、


何かのきっかけで、この絵画について夫と話した時、
ラヴォアジエ夫人には愛人がいた事を聞いて、
少々驚き⁉︎



唯、十三歳で十五歳年上の男性と結婚と聞けば、何かしら双方に無理がある場合もでて然り(同様に無理のない場合も)、と思ったり、恋愛国家、"フランス"な為、文化、社会的に認められていた風習なのかしら?とも思ったり、

その他、この天才が辿った人生にも興味が湧き↓を読むきっかけになりました。



メトロポリタン美術館の一枚 NO2 有名な化学者と妻の美しい肖像画 Antoine Laurent Lavoisier and His Wife_e0373235_04370096.jpg

p126より、
Dupon became her lover in 1781

マダムラヴォアジエは1781年にデュポン氏と親密な間柄になった。


ある意味、憶測したように

The kind of affair Madame Lavoisier was having with Dupon was common in Paris where young women were often married to older men before they were sixteen.

意訳:パリでは、マダムラヴォアジエとデュポン氏のような親密な関係は、十六歳以前に年上の男性と結婚した女性には、しばしある事で、"衝撃的"ではなかったようです。

この事柄のみならず、ラヴォアジエの個人的な生活の記録は謎に包まれているようです。兎に角、興味の範疇が広い為、実験や仕事に費やす時間が一日を占めていたようで、日記をつける時間もなかった?等、憶測ですが、本人にとって"実験や発見"が自身の日記,人生の記録だったのでしょうか。



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伝記の前書きに、
筆者がメトロポリタン美術館↓の絵画写真とともに以下


But there is something bizzare about the portrait. It is as if Madame Lavoisier were the leading figure,Her husband's docile attitude is surprising in someone who has been showered with the highest honors. Did David perceive a weakness in him? Is it diffidence, doubt, or dissatisfuction that causes Lavoisier to seek approval in his wife's eyes?

筆者はこの肖像画が心なしかBizarre 不可思議な印象を持っているようです。

ラヴォアジエが夫人に向けた眼差しについても、夫人が夫以外に心を寄せていた男性がいたと知った後では、違う解釈に見えるかもしれません。

画家、Jacques Louis Davidがその事実を知っていたか否か、知る由はありませんが、絵画が鑑賞者に伝えるメッセージは色々で、そんな所も絵画鑑賞の楽しみでもあるかと思います。



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マダムラヴォアジエはご主人の化学の翻訳、デッサン等、
助手的役割を果たしていた才女でしたが、
デッサンはこの肖像画の画伯Jacques Louis David師事

↓ マダムラヴォアジエのデッサン
http://cenblog.org/artful-science/2011/06/01/acknowledging-madame-lavoisier/より


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現在ギャラリー614 ↓ピンク
629は前回こちら

追記2018年六月現在:

このラヴァジエは629に移行しています。
加えて以前紹介したプリンスオブWales ヘンリーの絵画
六月現在、展示無しとなっています。
訪問の際はこちらをクリックしてギャラリー確認して下さい

2019年一月現在629に展示
ラヴァジエの絵画
こちらで確認できる


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by Bopeep17 | 2018-05-05 07:56 | 絵画 | Comments(0)

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